やたら長くなってしまったスリヴァーの解説も、段々と終わりが見えてきました。
今回はスリヴァーのマナベースについて解説します。
マナベースについては、カードの優先度の高低によってそれぞれ見方や価値観が違ってくると思いますので、私がどのような意図・経緯でこうした構成にしたのかも含めて、その特徴や役割毎に分類して解説していきます。

③土地

まず土地の総数ですが、当初は22枚で調整を始め、22枚ではマナフラッドを起こしやすい印象だったため21・20枚を検討し、20枚だと集合した中隊やスリヴァーの巣の起動を考えると今度はマナスクリューしやすい印象だったため、現在では21枚に落ち着いています。集合した中隊の数を抑えるのならば、土地を20枚に絞ってもかまわないかな、とも思います。

(1) フェッチベース(10枚)

新緑の地下墓地 4

湿った墓 1
草むした墓 1
血の墓所 1
神無き祭殿 1

 1
 1

緑黒フェッチをベースにしたマナベースです。
前回紹介した菅草スリヴァーの再生能力とロード能力を活かすため、フェッチのサーチ先は黒に偏っています。
緑黒フェッチを軸にして基本土地を森・沼ともに採用していますが、沼は上述の菅草のため、森はマナ編みスリヴァーと集合した中隊のためのものです。
言い換えれば、血染めの月などを置かれた場合もこの2つがそろっていれば何とか展開が可能です。
また、白が絡んだデッキを相手にする場合、数回は流刑への道を打たれますので、最低限の基本土地を採用しています。最近では廃墟の地や残骸の漂着などのカードも加わったので、基本土地の必要性は上がっています(枠が無いので増やせないのがネックですが…)。
またサーチの順序は上述の関係から、緑黒がもっとも優先されます。その後は、メインの場合は手札の展開を考えて、サイド後はサイドカードの色と手札の色とで相談していくことになります。メインの体感は、青黒>白黒・赤黒という所かと思います。
スリヴァーの色が5色に散らばっているため、フェッチベースだけでそれらの色を供給するのは困難を極めます。他方、以前は筋力・捕食スリヴァーの色に対応した寺院の庭を採用していましたが、菅草の修正が入らなくて負けたゲームも多々あったことから、優先度の関係で抜けてしまいました。菅草の期待値を下げればこのあたりは改善されるのですが、その分打点は下がってしまう…というジレンマがありますね。

(2) 部族専用5色土地(6枚)

魂の洞窟 3
スリヴァーの巣 3

まず魂の洞窟は、以前は盲目的に4枚でしたが、以前に晴れる屋の神挑戦者決定戦で10位に入っていたリスト(https://bit.ly/2w7Z02P)を見て考え直し、以下2点の理由で魂の洞窟:スリヴァーの巣を3:3で散らす形にしました。

①モダンではそもそもカウンターがあまり強くなく、またそれらを使用したデッキも支配的とは言えず、絶対数は少ない。
例:マナ漏出、差し戻し、呪文嵌め、論理の結び目、謎めいた命令(これは中盤以降のカードなのでまた状況は異なる)、卑下…等々。
②ロングゲームや調和スリヴァーなどとのシナジーを考えると、スリヴァーの巣の方が有用性がある。

また、スリヴァーの巣は対戦相手からよく能力を確認されるため、以下に能力をおさらいしておきます。

(T):あなたのマナ・プールに(◇)を加える。
(T):あなたのマナ・プールに好きな色1色のマナ1点を加える。このマナは、スリヴァー(Sliver)呪文を唱えるためにのみ使用できる。
(5),(T):無色の1/1のスリヴァー・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。この能力は、あなたがスリヴァーをコントロールしているときにのみ起動できる。

トークン生成能力を備えたスリヴァー専用の5色土地です。
トークン生成能力は5マナ+自身のタップの計6マナで1/1の無色のスリヴァー・トークンとかなり重めですが、マナ編みと組み合わせることで起動しやすくなります。また、調和スリヴァーと組み合わせるとそのETB能力を使い続けることができ、さらにトークンは無色のため、対親和ではプロテクション(すべての色)を持つ刻まれた勇者を破壊したりブロックすることも可能になります。
その他、トークン生成の能力はスリヴァーをコントロールしていないと使えませんが、後述の変わり谷と組み合わせることで、全体除去の後などに土地しか残っていなくとも、起動が可能です。
土地総数との関係で上述のように3枚に抑えていますが、4枚に増やしてもいいと思っています(近々、試してみる予定です)。
なお注意点として、二つ目の能力は起動型能力には使えないため、菅草の再生能力の黒マナを払うことはできません。きっと開発も存在を忘れていたのでしょう…。

(3) 打点補助(3枚)

変わり谷 3
0マナ2/2のスリヴァーです(迫真)。と、いう冗談は置いておいて、正確には多相を持っているためスリヴァーであったり、他の部族でもあります。そのため、対マーフォーク戦ではアトランティスの王の修正も受ける(逆に筋力・菅草などもしかり)ので、打点計算の際は注意しましょう。
デッキ全体の打点を補助し、対全体除去やヴェールのリリアナなど対PWといった消耗戦の際の要でもあります。
色マナカウントにはなりませんが、その打点が重宝するので3枚採用しています。案としては、これを4枚にして土地総数を22枚にするというものもありました。
上述のようにスリヴァーの巣とも相性が良いです。また、拡散スリヴァーと組み合わせると、先に起動しておくことが必要ですが、廃墟の地や幽霊街の対象になった際にも拡散の能力が誘発します。そのため、場合によっては相手のアップキープなどに起動することもあります(廃墟の地の起動を促したい場合…など)。その他、菅草がいればそうした土地破壊カードに際して再生することもできます。

最大の注意点としては、クリーチャー化能力起動のタイミングの問題があげられます。
これは他のミシュラランドとも共通する一般的な知識ですが、ミシュラランドを戦闘に参加させるためには、戦闘開始ステップまでにクリーチャー化能力を起動しておかないと、次の戦闘クリーチャー指定ステップでは能力起動のタイミングはなく、戦闘に参加させることができません。
しかし、もし戦闘開始ステップでインスタントのスペルや能力などによって優先権が発生したならば、能力起動のタイミングが発生します。
ややこしい言い回しになってしまいましたので、具体例を一つあげましょう。たとえば、対青系コントロールの際、数体のスリヴァーと変わり谷をコントロールしていて相手が謎めいた命令を持っている(あるいは打つだろうと想定される)場合には、変わり谷の能力を起動せず、戦闘開始ステップまで進み、優先権を放棄します。すると相手はこのタイミングで命令をオールタップモードで唱える必要がでてきて、命令を解決後に再度優先権を得て変わり谷の能力を起動すれば、変わり谷だけはタップされず戦闘に参加させることができます。
なお、相手が命令を唱えなかった場合は戦場のスリヴァーは戦闘に参加できますが、変わり谷の能力起動のタイミングは過ぎているので、こちらは戦闘に参加させることはできません。

④その他(2枚)

マナの合流点 1
クリーチャー・スペル双方に使える5色を出すことができるため、各色のカウントの補強用として1枚を採用しています。対バーンやタイトなダメージレースをおこなう際にはネックになりますが、他方、各色のスリヴァー・菅草の再生マナ・中隊の緑マナ・サイドボードの色マナ…などなどをカバーできる土地は貴重で、現状では必要悪だと捉えています。
なお、後述するアーボーグがある場合には、沼として黒マナを出せばダメージは受けません。

ヨーグモスの墳墓、アーボーグ 1
菅草による再生可能回数が勝敗に直結する場面があるため、1枚を採用しています。また、このカードがあるため、無理をすれば黒ダブルのカード(ただし3マナ以上)までは採用を検討することが可能です。さらに、副次的な恩恵として、マナの合流点やフェッチを沼として扱うことでダメージを受けなくなるという点もあげられます。
ただし、色マナカウントとしては黒1色のため、マナベースの負担になっている点は否めません。マナベースの検討の際には、真っ先に槍玉にあがってしまう枠ですね。このカードは菅草の重要度とセットで考える必要があるでしょう。

総括すると、スリヴァーとそれ以外の色マナカウントはそれぞれ以下のようになります(注:フェッチを含みます)。

(1)スリヴァー 白:12、青:12、黒:17、赤:12、緑:13
(2)それ以外  白:6、青:6、黒:11、赤:6、緑:7

こうして見ると、黒に大きく偏っているのがわかります。このあたりはまだ改善の余地があると思います。
また、上記の数は緑黒フェッチも含んでいるため、実際に2、3色目…となっていくとカウントは段々と減ってしまいます。さらに1ターン目に特定のマナを出すために必要とされる14枚のラインをクリアしているのが黒のみのため、実際には風乗りスリヴァーや先制スリヴァーを無理なく1ターン目に展開するのには支障があると言わざるをえません。霊気の薬瓶やマナ編みスリヴァーがあるとは言え、スリヴァーのマナベースは大きな課題です。現状では薬瓶を当て込んだ構成のため、サイド時に薬瓶を抜くようなマッチアップではマナトラブルを起こす可能性があり、採用するサイドカードは慎重に検討する必要があります。

以上、最後はかなり悲観的な宿題にはなってしまいましたが…、反面ではスリヴァーはまだまだ研究の余地があり、そして研究がもたらすリターンも大きいデッキであると考えることもできると思います(今はまとまった情報もあまりないので)。

次回はサイドボードを紹介・解説して、一応のスリヴァー・デッキ紹介・解説の終了としたいと思います。余力があれば、簡単なサイドイン・アウトもメモ書き程度に書きたいと思っています(何せ私も探り探りの構築なのでw)。

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